財布を全部ひとつにしなくていい

共働きになって、なんとなく財布が別々のまま。そんなご家庭は多いと思います。家賃は夫の口座から、保育園の費用は妻の口座から。気づけば「誰が何を払っているのか」が、ふたりともぼんやりしている。よくある話です。

ここで「全部ひとつの財布にしよう」と言い出すと、たいてい話がこじれます。自分の稼いだお金を自由に使えるのは、共働きの良いところだからです。

そこでおすすめしたいのが「共通の財布」です。家族のためのお金だけを、1つの口座に集めます。生活費と家族の貯金はそこから出して、残りは今までどおり自分のお金として使います。財布は別々のまま、家族のお金だけが見えるようになる仕組みです。

3つの型のちがい

共通の財布へのお金の入れ方には、大きく3つの型があります。

型やり方向いている夫婦
A 定額型ふたりが毎月同じ額を入れる収入が同じくらい。まず簡単に始めたい
B 割合型手取りの割合に応じて入れる収入に差がある。不公平感を減らしたい
C まとめ型給料をほぼ全部入れ、お小遣いを取り分ける大きな目標に向けて、一気に貯めたい

A 定額型:とにかく始めやすい

毎月「ひとり○万円」と決めて、同じ額を入れます。計算がいちばん簡単で、話し合いも短く済みます。一方で、収入に差があると、収入の少ない方の手元が苦しくなりやすい型です。

B 割合型:収入に差があっても公平に感じやすい

たとえば手取りが夫6、妻4の割合なら、共通の財布に入れる額も6対4にします。「同じ額」ではなく「同じ重さ」で負担する考え方です。収入が変わったら割合も見直すので、A 定額型より少しだけ手間がかかります。

C まとめ型:全体がいちばん見えやすい

給料をほぼ全部入れて、それぞれのお小遣いだけを取り分けます。家のお金が1か所に集まるので、予算は守りやすくなります。そのかわり、自分で自由に使えるお金は少なめです。お小遣いの額を、ふたりが納得して決めておくことが大切です。

わが家に合う型を選ぶ3つの質問

型選びに正解はありません。次の3つを、ふたりで順番に話してみてください。

  1. ふたりの手取りは、同じくらい? 同じくらいなら A、差があるなら B が候補です。
  2. 自分で自由に使えるお金は、どのくらいほしい? たっぷりほしいなら A か B、少なめでも平気なら C も選べます。
  3. 近いうちに、大きな目標はある? 住み替えや進学の準備など、一気に貯めたい時期なら C が合うこともあります。

迷ったら、A 定額型からで構いません。いちばん手間が少なく、うまく回り始めてから B や C に切り替えられます。最初の型は「とりあえずの型」で十分です。

入れる金額の決め方

型を決めたら、次は金額です。順番はこうです。

  1. 共通の財布から出すものを、毎月の金額で書き出す(家賃・住宅ローン、食費、日用品、光熱費、子どものお金など)
  2. 家族の目標のための貯金を、毎月いくらにするか決める
  3. 1と2を足したものを、選んだ型でふたりに分ける

たとえば、生活費が毎月25万円、目標のための貯金が5万円なら、必要なお金は30万円です。A 定額型なら15万円ずつ。手取りが夫30万円・妻20万円で B 割合型なら、夫18万円・妻12万円になります。

この計算は、共通の財布の分担計算でそのまま試せます。3つの型の結果が並ぶので、見比べながら話すと決めやすくなります。

最初は少なめに始めて、足りなければ翌月に増やしましょう。無理な金額で始めると、続きません。

「自分の財布」には口を出さない

共通の財布がうまく回るかどうかは、実は「自分の財布」の扱いで決まります。

自分の服、趣味、友だちとの付き合い、自分だけの定額サービス。こうしたものは自分の財布から払い、相手は口を出さない。この約束があるから、共通の財布のルールも守りやすくなります。

「その服、また買ったの?」と言いたくなる日もあるかもしれません。でも、共通の財布に決めた額を入れているなら、残りは相手の自由です。ここは、ぐっとこらえるところです。

うまくいかないときの見直し方

始めてみると、「毎月、共通の財布が足りない」「片方だけ手元が苦しい」ということも出てきます。それは失敗ではなく、調整の合図です。

  • 共通の財布が足りない:書き出しから漏れている出費がないか確かめます。子どもの行事や、日用品のまとめ買いは漏れやすい代表です。
  • 片方の手元が苦しい:A 定額型なら、B 割合型への切り替えを考えるタイミングです。
  • 余りがたまっていく:余りの行き先を決めます。目標の貯金に回すか、家族の楽しみに使うか、ふたりで選びましょう。

見直しは、月に1回の家計会議でまとめて話すのがおすすめです。思いついたその場で言うより、決まった場で話す方が、責める空気になりにくいからです。

口座とカードの注意点

共通の財布の口座は、ふつうどちらか一方の名義になります。もう一方がその口座を操作できるとは限りません。銀行の代理人カードや、クレジットカードの家族カードを使える条件は、各社で違います。使う前に、公式の情報で確かめてください。

ログインのパスワードや暗証番号は、夫婦の間でも共有しないでください。また、家の購入など大きなお金を動かすときは、誰の名義のお金かが税金に関わることがあります。そのときは、税務署や税理士など専門の窓口に確認しましょう。