「余ったら貯める」は、なぜ貯まりにくいのか
月末に余った分を貯金しよう。そう決めても、月末になるとあまり残っていない。そんな経験はありませんか。
これは、意志が弱いからではありません。使い道が決まっていないお金は、「使っていいお金」に見えてしまうからです。月の途中のちょっとした外食や買い物に、少しずつ吸い込まれていきます。
そこで、順番を逆にします。給料が入ったら、貯金の分を先に分けてしまう。これが「先取り貯金」です。残ったお金で暮らすので、月末に「今月も残らなかった」とがっかりすることが減ります。
金額は「なんとなく」より「目標から逆算」
先取り貯金でつまずきやすいのが、金額の決め方です。「とりあえず月3万円」と決めると、多すぎて続かないか、少なすぎて目標に届かないかのどちらかになりがちです。
おすすめは、目標から逆算することです。
毎月の額 =(目標額 − 今あるお金)÷ 残りの月数
たとえば、1年後の家族旅行に60万円ほしくて、今その用に6万円あるとします。(60万円 − 6万円)÷ 12か月で、毎月4万5,000円です。
「旅行のために、毎月4万5,000円」と目的とセットになっていると、ふたりとも納得しやすくなります。なんとなくの3万円より、意味のある4万5,000円の方が続くものです。
端数は1,000円単位に切り上げる
割り算をすると、端数が出ることがあります。たとえば、7か月で100万円なら、100万円 ÷ 7 で、毎月14万2,857円と少しです。
この場合は、1,000円単位に切り上げて、毎月14万3,000円にするのがおすすめです。理由は3つあります。
- 自動の振替が設定しやすい:きりのいい金額の方が、銀行の設定も、覚えるのも楽です。
- 少しだけ早く届く:14万3,000円 × 7か月で100万1,000円。端数を切り捨てると、最後に少し足りなくなります。
- 細かい差を気にしなくて済む:この計算は、利息や運用の増減を入れない単純な割り算です。少し多めにしておくと、細かい差に振り回されません。
夫婦で分けるときの2つの方法
共働きなら、先取り貯金をふたりで分けることもできます。
- 半分ずつ:毎月の額を2で割ります。4万5,000円なら、ひとり2万2,500円です。
- 収入の割合で分ける:手取りが夫30万円・妻20万円なら、6対4で分けます。4万5,000円なら、夫2万7,000円・妻1万8,000円です。
どちらがいいかは、ふたりの収入の差や、共通の財布の型に合わせて選びましょう。共通の財布から目標の貯金を出しているなら、分けずに共通の財布から先に移しても構いません。
計算は、目標の先取り貯金の逆算で、目標額と期間を入れるだけでできます。1,000円単位の額や、ふたりの分担、何回目が何年何月になるかも出ます。
重く感じたら、削るより延ばす
計算してみたら、毎月の額が思ったより大きかった。そんなときは、次の順番で見直します。
- 期間を延ばす:12か月を18か月にすると、毎月の額は3分の2になります。
- 目標額を見直す:旅行なら、行き先や時期、日数を変えると目標額も変わります。
- 今あるお金を見直す:ほかの口座に、目標に回せるお金が眠っていないか確かめます。
無理な金額で始めると、数か月で崩れてしまいがちです。「ちょっと物足りない」くらいの額で始めて、慣れてきたら増やす。その方が、途中でやめずに届くことも多いものです。
続けるための3つの仕掛け
先取り貯金は、仕組みにしてしまえば、毎月の手間がほとんどなくなります。
- 給料日の翌日に自動で移す:多くの銀行には、決まった日に決まった額を別の口座へ自動で送る仕組みがあります。名前や手数料は銀行によって違うので、公式サイトで確かめてください。
- 目標の名前を付ける:口座や目的別の入れ物に「沖縄旅行」のような名前を付けられる銀行もあります。名前があると、つい使ってしまうことが減ります。
- 月に1回だけ眺める:家計会議の最初に、目標の口座がいくらになったかを見ます。少しずつでも増えていれば、それが一番のご褒美です。
設定したあとも、ほったらかしにはしないでください。残高が足りなくて振替できなかった、ということも起こりえます。月に1回、入金の記録をさっと見るだけで十分です。
よくある迷い
「今あるお金」に、貯金を全部入れていい?
入れるのは、その目標のために使うと決めたお金だけにします。急な出費のための備えまで入れてしまうと、計算上は届いていても、実際には使えないお金が混ざってしまいます。
途中で目標額が変わったら?
変わった時点で、もう一度計算し直せば大丈夫です。今ある額と残りの月数を入れ直すだけで、新しい毎月の額が出ます。毎月見直す必要はなく、目標が変わったときだけで十分です。
目標は1つから
目標がいくつもあると、どれから貯めればいいか迷います。最初は、ふたりがいちばん楽しみにしている目標を1つだけ決めましょう。1つ届いた経験があると、次の目標も決めやすくなります。